単純だがミスが許されない作業を自動化し、30分の短縮に

サービスの導入効果

伊藤製鐵所はリサイクル鉄から高張力異形棒鋼、通称オニコンともよばれる鉄筋を製造している会社です。一般に、リサイクル鉄を使用して製品を作る企業では、等級の高い鉄のみを使用しています。しかし伊藤製鐵所では、廃棄鉄の等級に関わらず、いわゆる下級クズともよばれるようなスクラップもリサイクル材として受け入れています。どのような鉄でも、活かしながら一定した品質の鉄筋を作る技術が最大の特徴です。これによりリサイクルに使える鉄の範囲が広がり、リサイクルできずに廃棄される鉄の量を減らすことができます。つまり環境によりよい社会の実現につながっているのです。

伊藤製鐵所で生産された鉄筋を出荷する際、通常は60本ごとの束にして出荷しています。その際、一つの束に定数の鉄筋が入っているかの確認のため、Eye-Count AIを活用しています。これにより、従来は20~30分かけていた本数のチェックが、20秒ほどで完了するようになりました。

サービスの施策内容

伊藤製鐵所におけるEye-Count AIの使用方法は、非常に簡単です。Eye-Count AIアプリが入ったスマートフォン端末で、鉄筋の束の端、鉄筋の断面が写るように撮影するだけです。その部分だけEye-Count AIが画像の中から自動で鉄筋の断面を検出し、鉄筋の本数をカウントする仕組みです。

とはいえ撮影場所は工場であり、近くに別の束があるなど、自動での画像認識だけではカウントが難しいケースもあります。そのような場合には、断面を写した画像のうち、数えたい範囲を指で囲むだけで範囲指定ができます。難しい操作や特別な機器を必要としないため、導入にあたっての困難も特になかったそうです。

Eye-Count画面イメージ

導入前の課題

Eye-Count AI導入前は、人の手で本数を数えていました。鉄筋の端にチョークで印を付けつつカウントしていたそうですが、数え間違いが発生することもあり、2~3人でトリプルチェックを行うなど、20~30分ほど時間をかけていたそうです。それでも数え間違いが発生し、後工程から確認を求められることもありました。

そこでEye-Count AIを導入したところ、鉄筋の端面が写るようにスマートフォンで写真を撮るだけで、20秒程度で鉄筋の数のカウントが完了するようになりました。これにより、ただ数を数えるという非常に単純な作業に割いていた人手を、別のところに回せるようになりました。さらに本数のカウント自体も早くなったことから、ラインを止めることもなくなったそうです。Eye-Count AIを使用すれば、従来のように繰り返しチェックしなくても間違いもありません。従来はおおよそ月に1件程度のカウントミスが発生していたそうですが、それもなくなりました。加えて、カウント時に撮影した画像データを残しておけば、後から本数を確認することもできます。 Eye-Count AIの導入によって、鉄筋の数の確認にかかっていた時間の短縮だけでなく、作業ミスの撲滅や生産性の工場、トレーサビリティの確保なども実現できたのです。

候補サービス

導入にあたっては、無料の計量アプリをはじめ、いくつかのシステムも同時に検討したといいます。しかし特に無料アプリの場合、細めの鉄筋はカウントができない、少し暗めの場所では正しくカウントできないなどの問題も多く発生しました。

他社の有料アプリとの比較では、処理速度や精度、操作性などの面からEye-Count AIの導入を決めたそうです。特に大きかったのは、現在行っている作業との相性で、他のものを間違えてカウントしないための範囲指定の行い方などが導入の決め手となりました。

最終的にSAYコンピュータのMekki-Noteを選んだ理由は、データ活用の相談ができ、同社のニーズに合ったシステム構築が可能だったからです。たとえば、部品ごとのマスタ作成や不良品の自動識別といったニーズに対応できる点が評価されました。

導入後の現場の反応

伊藤製鐵所では2台のスマートフォンにEye-Count AIを導入しました。出荷時の鉄筋の数の確認だけでなく、棚卸し時の在庫確認にも使っているそうです。手作業で数える必要がないため、棚卸しにかかる時間も大幅に削減できました。 棚卸しでは、倉庫内にある製品や仕掛品などの個数を一つ一つ計上しなければいけません。多くの製造業では、この作業にはたくさんの人手を要し、長い時間がかかっています。しかしEye-Count AIを導入したことで、棚卸しにかかる時間も短くなりました。

特に気に入っている機能やサービス

伊藤製鐵所ではEye-Count AIの強みをさらに活かすために、鉄筋の束に取り付けたQRコードとカウント時の画像の紐づけを行いました。QRコードに記録された鉄筋の太さや長さなどのデータと本数のデータがセットになり、何が何本あるかという記録がかんたんに残せるようになったのです。Eye-Count AIが導入されているスマートフォンを使い、そのカメラ機能からQRコードが読めます。そのため、記録を紐づけるためにバーコードリーダーなどの別のツールを使用する必要もありません。一つのツールで、かんたんに情報をまとめることができるため、情報をまとめるための手間もほとんど増えていません。スマートフォンに導入できるアプリだからこそ、ツールを増やす必要がないのです。

まとめ

製品の数を数えるという作業は、さほど複雑な作業ではありません。しかし正しく数えなければ、お客さまからの信頼を損ねてしまうなど、問題も多く、ミスの許されない作業でもあります。そのため、ただ数を数えるだけの作業に、2人、3人という人材を割き、ダブルチェック、トリプルチェックなど、時間もかけているケースも少なくありません。

Eye-Count AIを導入すれば、そのような作業ツールに任せることで、大切な人材をより生産性の高い業務に回せるようになります。 製品の数のカウントに課題を感じていたり、そこにかかるコストを削減したいと思っている方は、ぜひ導入を検討してみてください。