フロン回収とは?法規制対応と業務DXを実現するSee-フロンのご紹介
フロンガスの適切な回収・管理は、環境保護と法令遵守の観点から不可欠です。本記事では、フロン回収のプロセスと現場で直面する具体的な課題を解説するとともに、SAYコンピュータが提供するフロン行程管理システム「See-フロン」を例に取り上げ、業務効率化とコンプライアンスを両立させるポイントをご紹介します。
フロン回収が必要な理由と法規制
フロン類(CFC・HCFC・HFCなど)はオゾン層破壊や地球温暖化の要因となるため、大気への排出は厳しく規制されています。日本では「フロン排出抑制法」により、業務用エアコンや業務用冷蔵庫など第一種特定製品を廃棄・解体する際、充填されたフロンは必ず回収しなければなりません。機器の所有者は、自ら回収するか、都道府県知事登録の第一種フロン類充填回収業者に委託する義務があります。登録業者以外による回収・放出は違法です。
回収したフロンは、環境大臣許可の破壊業者または再生業者で無害化または再生処理を行います。さらに機器所有者は毎年度、漏えい量を算定し、CO₂換算で年間1,000トン以上の場合は国へ報告しなければなりません。このように、フロン類の適正管理は環境保護と法令遵守の両面で厳格に求められています。

フロン回収の手順と必要書類
フロン回収は法律で定める行程管理票に従って進められ、各工程ごとに書類の発行・保存が義務付けられています。
以下に機器廃棄時の一般的な流れをまとめます。
回収依頼と書類発行(A票)
まず、機器の所有者(廃棄等実施者)は、対象機器の廃棄にあたり第一種フロン類充塡回収業者(フロン回収業者)にフロン類の回収を依頼します。フロン回収業者に直接依頼する場合、所有者は「回収依頼書」(行程管理票A票)を交付し、機器の情報や所有者・業者の情報を所定の様式に記入します。A票はフロン回収を正式に依頼したことを示す書類であり、発行後は機器所有者がその写しを3年間保存する義務があります。
フロンガスの回収作業
依頼を受けた第一種フロン類充塡回収業者の有資格技術者が現地に出向き、対象機器からフロンガスの回収作業を行います。回収作業中は漏えいや作業者の安全に十分注意し、法令基準に従った手順で進められます。
引取証明書の交付(E票)
フロンの回収作業が完了すると、フロン回収業者は機器所有者に対して「引取証明書」(行程管理票E票)を発行・交付します。機器所有者(廃棄実施者)はE票を受領して3年間保存しなければなりません。一方、フロン回収業者側でも、行程管理票の控えであるF票に必要事項を記入して自社用に保管します。
機器本体の廃棄引き渡し
フロンガスが抜き取られた機器本体は、金属スクラップ業者や産業廃棄物処理業者などの第一種特定製品引取等実施者(引取業者)に引き渡して廃棄・リサイクル処理を行います。その際、機器の所有者または解体業者など引渡しを行う側は、「フロン類回収済み」であることを示すために、先ほど受け取った引取証明書(E票)のコピーを必ず廃棄物の引取業者に手渡さなければなりません。フロン類の回収が確認できない機器を引き取ることは法律上違法とされており、引取業者はE票(写し)の提示を受けてはじめて機器の受け取りが可能です。
回収フロンの処理
回収業者がボンベに封入したフロンガスは、許可を受けた破壊・再生業者へ送付し、高温分解または精製で無害化・再生します。破壊・再生の処理が完了すると、それぞれ破壊証明書・再生証明書が発行され、フロン回収業者や機器所有者に対して処理完了が報告されます。
書類の保管義務
A票、E票、F票、および破壊・再生証明書は、関係者それぞれが原則3年間保存します。適正な書類管理により、フロン回収の履歴をいつでも追跡できます。
A票・E票・F票の書類管理一覧表
書類 | 主な発行者 | 保存者 | 保存期間 | 主な役割 |
A票(回収依頼書) | 機器所有者 | 機器所有者 | 3年 | フロン回収を正式に委託した証拠 |
E票(引取証明書) | フロン回収業者 | 機器所有者 | 3年 | 冷媒ガスを回収済みであることを証明 |
F票(行程管理票控え) | フロン回収業者 | フロン回収業者 | 3年 | E票の控えとして業者側で保存し、回収実績を証明 |
フロン回収に必要な資格
フロン回収業務を行えるのは、都道府県知事に登録された第一種フロン類充填回収業者に限られます。そこで実務を担う技術者には、主に以下の資格が求められます。
- 第一種冷媒フロン類取扱技術者(日設連認定)
- 第二種冷媒フロン類取扱技術者(JRECO認定)
いずれもフロン排出抑制法の施行(2015年)に合わせて創設された民間資格で、漏えい点検・充填・回収を適正に行うための知識と技能が試験で問われます。資格保有者は、法令順守とフロン類の適正管理を担う技術者です。
フロン回収業務の課題とデジタル化の必要性
フロン回収では、現場作業に加え書類作成・管理が大きな負担となります。行程管理票などを作成・交付し、3年間保管するほか、漏えい量の算定やCO₂が年間1,000 tを超える場合の国への報告も必要です。この一連の手続きは人手に依存しており、現場には限界があります。
多くの事業者は、現場で記録したデータを後からExcelに転記し、案件ごとに回収量やボンベ出荷量を集計しています。結果として行程管理票の作成に時間がかかり、入力ミスも発生しやすい状況です。年度末の集計や複数業者が関与する案件では、書類の突き合わせがさらに煩雑になり、法定帳票の不備が罰則につながるリスクも高まります。
こうした課題を解消するには、データ入力から帳票作成・保管までを一元管理できるデジタル化が不可欠です。
フロン回収業務を効率化する『フロン工程管理システム(See-フロン)』のご紹介
SAYコンピュータが提供する 「See-フロン」 は、フロン回収の行程管理をデジタル化し、業務効率と法令遵守を同時に支援するクラウド型システムです。
- 現場入力
作業員はタブレットやスマートフォンから回収データを直接登録でき、後日転記の手間を解消します。 - 帳票自動生成
入力データはリアルタイムで社内データベースに反映され、ボンベ出荷連絡票などの帳票をワンクリックで発行。
ペーパーレスで関係者と共有できます。 - 自動集計・報告対応
機種別・冷媒種類別の回収量を自動集計し、年間報告用のデータも即時に出力可能です。

See-フロンの行程管理一覧画面
これらの機能により、行程管理票の作成時間と入力ミスを大幅に削減し、複数現場や取次業者とのデータ連携も容易になります。
トライアルのお申し込みや詳細資料は製品ページをご覧ください。
まとめ
フロン回収は環境保護と法令遵守の観点から不可欠です。資格を持つ業者が正しい手順で回収し、関連書類を管理することがオゾン層破壊や温暖化を防ぎます。
一方、紙台帳と手入力では効率も精度も頭打ちです。こうした課題はデジタル化で解消できます。SAYコンピュータの 「See-フロン」 を導入すれば、現場入力から帳票出力までを一元化し、業務効率とコンプライアンスを同時に高められます。業務改革の第一歩として、ぜひ導入をご検討ください。